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家を長持ちさせるということは、長期的な視点で、良質な住宅を建てるということ。
家を長持ちさせるということは、長期的な視点で、良質な住宅を建てるということです。
そのため、耐震性や耐久性をしっかり考えて構造躯体そのものを丈夫につくること、点検やメンテナンスが簡便にできること(維持管理の容易性)や、将来のライフスタイルの変更に対応できるようにリフォームしやすいよう(可変性)、設計に工夫をしておくことが重要です。
耐震性
家が長持ちすると、大地震や強い台風に遭う確率が高くなります。建築基準法は最低限の性能を定めたものです。耐力壁の量やバランスのよい配置は、より頑丈になるよう住宅性能表示基準(住宅の品質確保の促進等に関する法律)の耐震等級2や3に対応したものが望まれます。
耐久性
新築時点で耐震的にいくら丈夫にしても、柱や土台がシロアリの被害にあったり、腐ったりしては何の意味もありません(写真、図表参照)。耐久性を考えた家づくりが大切です。そのため、適材適所に耐久性のよい樹種を使うとともに、防蟻、防腐薬剤によるバリアの構築、床下換気の確保、屋根や外壁の防水性の確保や外壁通気工法など建築的な工夫などを総合的に組み合わせることが大切です。
阪神・淡路大震災では、住宅の築年数の新旧に関わらず、土台や柱脚部など構造材に蟻害・腐朽があった木造住宅の全壊被害が多く見られました。(神戸市東灘区での調査結果、大阪市立大学土井正准教授提供)
維持管理の容易性
家を長持ちさせるには、計画的、定期的な点検を行い、傷んだ部材の補修や交換をしたり、リフォームなどによって性能を維持・向上させることが大切です。そのためには、床下や屋根裏の点検口を確保して、見えない部分の構造躯体や設備の点検や補修・交換が簡単にできることが必要です。また、維持管理や中古住宅の取引のときに、安心して住める住宅化、どのように傷んでいるのかなど、住宅の性能や維持管理の履歴などの情報が不可欠です。そのため、最初の設計図書だけでなく、どのように維持管理して、補修や交換を行ってきたかを記録した、いわゆるハウスカルテ、家暦書が大切な情報資産になります。これがあると、お付き合いする工務店や設計者などが変わっても、適切な対応が可能になります。
可変性の確保
長く住んでいると住まい手の高齢化や子供の独立、次世代へ住み継ぐなどライフスタイルが代わっていきます。間取りの変更、増改築などリフォームによって構造躯体が最初の設計から大きく変更されることになります。柱や壁を取り除いたりしたときに、耐震性や耐久性が損なわれないようにすることが大切です。そのため、設計時点で将来の構造躯体の変化に対応できるように工夫しておくことが望まれます。